二つの眼で見る気の世界
昨年の12月、ちょっと訳あって急に自宅を引っ越すことになりました。
時間があまりない中での準備はなかなかはかどらず、直前は睡眠時間を削っての作業となりました。
引っ越し当日は何年かぶりの徹夜をしてしまいました。調子に乗って、引っ越し業者さんの手伝いまで買って出てしまったので、その後の疲労感はひどいものでした。
例年ですと、元旦には届くように準備している年賀状も、年が明けてからお返しするという形になってしまいました。届いた年賀状を確認しながらメッセージを考えていきます。
友人からの一枚に「私は、〜にハマっています」というコメントがありました。
そこで、私もそれに倣ってお返ししようと考えたのですが、「はて、自分はいったい何にハマったと言えるのだろうか?」と頭を悩ませてしまいました。
流行りのアイドルグループたちにはお熱を上げていないし、昨年ヒットしたドラマ『半沢直樹』も観そびれました。
じぇじぇじぇの『あまちゃん』だって、朝のラジオ番組でアイドル評論家の中森明夫さんがあまりに絶賛するもんだから、後半の3分の1程度を観たくらいです。
毎日がありふれているのでしょうか、熱中したと思えるものがなかなか出てきませんでした。
ただ、そんな中で一つだけ思い当たるものが浮かびました。
私は何巻にもわたる長編小説をあまり好んで読むことがありません。上下巻くらいだといいのですが、長すぎるものは最初から敬遠してしまいます。飽きっぽいのかもしれません。
『三銃士』は何とか全3巻読めました。『宮本武蔵』は全8巻中、5巻の途中で放ってあります。まあ、そんなもんです。
そんな私でも、昨年、全6巻を続けて読んだ作品がありました。荻原規子さんの『RDG レッドデータガール』というファンタジー小説です。
世間知らずで極度の人見知りである一人の少女が、自らの秘められた特別な能力に目覚めていく成長物語なのですが、続きが気になって全部読んでしまいました。
最初は正直、若い少年少女が中心のストーリーに感情移入できるだろうかと思って読み始めましたが、登場するキャラクターの誰もが魅力的で、作者が伝えようとする大切な想いが彼らのかっこいいセリフとなってあちこちに散りばめられているので、飽きることなく読み進めることが出来ました。
(う〜ん、ちょっとオーバーに書いちゃったかな?)
ただ、最後まで読み通せた大きな理由は、この物語が修験道や陰陽道などを主要な題材として扱っていたからだということが言えます。
以前のコラムにも書きましたが、「気」という通常、目には見えないものの存在を当然のこととして自覚していると、目には見えない世界のことが不思議ではなくなってきます。
人間の目には捉えられずとも、科学的に存在を認められていることなどいくらでもあります。自分の目には映らないということがその存在を否定する理由にはなりません。
ですから、この物語には神霊や呪術や憑坐などといった神秘的な事柄が当たり前のように出てきますが、それだからこそ興味を持ち続けることが出来たのだと思います。
「気」というものも、感じられない人にとっては存在のしない理解しがたい世界なのかもしれません。
でも、答えが簡単に出せないような事象に対しては、科学的に捉える冷静な眼と神秘性を端から否定してしまわない柔軟な眼の両方が必要だと思うのです。
何だか真面目な話になってしまいましたが、私も分からないことばかりで、いつも「分からん…」とつぶやいています。
ところで、結局のところ私は『RDG』にハマったと言えるのでしょうか。
実は、小説だけにとどまらず深夜のアニメ版も毎週チェックしてしまっていたくらいですから、一応、そのように表現しても構わないだろうということにしておきます。
そして、友人への年賀状にもそう書いて、送っておきました。
(2014年5月16日)
勉強法で一番大事なこと
うちの子供の夏休みも終わり、新学期が始まりましたが、子供時代の夏休みと言えばたくさんの宿題というイメージが浮かんでしまいます。
学校を卒業してしまえば、勉強や宿題から解放されると当時は思っていましたが、もちろんそんな甘くはなく、大人になってからも勉強の日々は続きます。
ビジネスマンだとビジネス書を読んで勉強するでしょうし、専門職の方は専門分野の研究を深めるための勉強をすることでしょう。
趣味の世界でも勉強は欠かせないですし、誰しもなにがしかの情報収集をしているでしょうから、誰でも毎日勉強しているようなものだと言っても言い過ぎではないと思います。
私の場合は、どうしても健康に関する書籍を読むことが多くなってしまうのですが、小説やマンガ、その他の実用書などもちょこちょこ読んだりしています。
勉強法などのノウハウ本も、読んでいると刺激されてやる気が出たりするものです。
今回、ご紹介する池田潤さんの『勉強の結果は机に向かう前に決まる』という本はアマゾンでのレビューはとても低いのですが、読みやすく、ヒントになることがいくつも書かれていて個人的には悪くない内容だと思います。
この本では、勉強で結果が出せない原因を、「量が足りない」ことと「質が悪い」ことの二つに大きく分け、それぞれをさらに細かい要素に分けて説明しています。
参考になる点はいくつもあるのですが、普段から自分でも痛感させられていることに、「勉強量を増やすということは、結局のところ、勉強以外の時間を減らし、勉強の時間を増やすという、しごくシンプルなこと。大事なのは、まず何かをやめること。何かをやめないことには、何かをする時間など生まれない」ということがあります。
当然と言えば当然のことなのですが、これがなかなか出来ていないことが多いのです。
例えば、テレビや新聞を見るのにだらだらと時間を費やしてしまった、なんてことはよくあります。
最近は少なくしましたけど、以前はドラマとか結構見てました。気になる番組をとりあえず録画予約するんです。
情報番組とかは早送りで済ませてしまうのですが、やっぱり芝居は表現力や間を味わいたい、などと思ってしまうのでノーマルで見ちゃう。
そもそも、ドラマを早送りで見てしまうと、役者のセリフが聞き取れないことがあって、巻き戻して普通に聞いてみてもやっぱり何言ってるか分からない時があって、「こんなんじゃ、日本語勉強している外国人には絶対聞き取れんわ!」と、毒を吐くことになります。
で、そうやって最終回まで見たドラマを振り返ってみると、ただ楽しんだなというだけで終わってしまったりする。半年も過ぎれば、誰が出ていたのかさえも思い出せないことがあります。
だから、なるべく最初から見ないことにしました。
見なきゃ見ないで済むもんなんですよね。前回のコラムでも『半沢直樹』を見そびれたと書きましたが、元から見ないと決めてしまっていると、世間が「倍返しだ〜」とか盛り上がっていてもそんなに気にならないもんです。
そう言えば、ヤンキースのイチロー選手も、過去にヒットして絶対に外さない作品じゃないと見る気がしない、というようなことを言っていたと思います。
だから、取材映像に映る自宅のテレビには、たいてい『白い巨塔』や『古畑任三郎』が流れています。無駄なことに時間を使いたくないという気持ちがあるのでしょうね。
少し厳しいですが、「長期的に自分にとっての成長につながらないことは極力しない」というふうに著者は言っています。
以上のような時間管理も大切なのですが、私が「やっぱり、そうだよね!」と最も共感したのは、「やる気」と「集中力」に必要な要素として、そのどちらにも「肉体」が含まれていたことでした。
「肉体」とは、体の状態のこと。体調が整っていなければ、やる気も集中力もゼロになってしまうと言っているのです。
著者曰く、「気合いとか根性の問題ではなく、肉体がボロボロになると、心もネガティブになり、いくら願望があっても、前に進むエネルギーが湧いてこない。肉体のケアを疎かにするのは、逆に勉強の効率を悪くする」
勉強も仕事も、自分の体調が良くなくては「よし、やろう!」という気が起きないものだと、常々思っていました。自分が元気でなくては皆さんを元気になどできるはずもないのです。
この本では、歩くことや筋トレを勧めていますが、私がその他にお勧めしたいのは、整体によるメンテナンスです。どうも最近やる気が起きないという時は、自分の体の状態を振り返ってみましょう。
整った体で臨めば、勉強も仕事も家事も、その分、はかどります。何かをしようという時に一番大事なのはそこなんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか?
(2014年9月7日)
母の救急車事件
先月こんなことがありました。
いつもお越しいただいている80代前半の女性の方に起きたお話です。仮にEさんとしておきましょう。
Eさんとはもう15年以上のお付き合いですが、最近は右肩の施術を重点的に行っていました。包丁3本を頑張って研いじゃったのが引き金になったようです。
術後は楽になって帰られて、調子がいいからといって、また庭仕事や片付け仕事などで同じところを痛めてしまうということを繰り返していました。
先月のある日、「実はこの間、骨が折れたかと思うくらい痛くなっちゃって」とご報告されました。夜、テレビでフィギュアスケートの試合を観ていたら、突然右肩が痛くなり出して全く動かせなくなったというのです。
これはいつもと違うと思ったEさんは機転を利かせて、腕をさらしで体に固定して安静にしていたということでした。翌日、家にあった湿布薬を貼って様子を見ているうちに、徐々に痛みが薄らいでいったみたいです。
Eさんは「中国の審判があまりに偏ってるから、中国の悪口いっぱい言ってやったからバチが当たったのかと思ったわ」と冗談を言っていました。
それにしても変です。Eさんの症状はだいぶ安定してきていました。ぶつけたり、何かハードなことでもしないと急に激痛に見舞われることなど考えにくかったのです。
そこで「何か特別なことはしませんでしたか?」と尋ねました。
Eさんは「その日は特に腕に負担をかけるようなことは何もしていない」とおっしゃりました。が、「ただ、その日の午後にインフルエンザの予防接種を受けて来た」ということでした。
もちろん、痛めていない左腕に打ってもらったとのことですが、ワクチンは血液に乗って全身を巡りますから、その副作用として、肩の炎症が一時的に強くなったという可能性はゼロとは言えないな、と私は思いました。
そんなことがあった数日後、家族で私の母の処に訪問した時のことです。母は開口一番、「この間おばあちゃん、救急車に乗ったんやで」と息子に話しているのです。
そんなことは初耳だった私は、誰かの付き添いで乗ったのか、自分が運ばれたのかどっちなんだろうと一瞬思いましたが、どうやら自分が乗るために自分で呼んだようなのです。
結局、何だったのか確かめてみると、「気分が悪くなって、立っていられなくなり、これはいつもと違ってマズイと思ったので119番した」ということでした。運ばれている間中も嘔吐が続いたそうです。
そして、その数時間前にインフルエンザの予防接種を受けて来た……と。
ちょうどその頃、母里啓子さんの『ワクチンはもうやめなさい』という本を読んでいた私は、「えらくタイムリーだなあ」とEさんと母の身に起こった出来事をリンクさせて考えてみるのでした。
もちろん、この二つのケースについて、インフルエンザワクチンとの確かな因果関係を証明することなど出来ません。それでも、全く影響がなかったとも言い切れないのではないかと思います。
この本では、ウイルス学の研究者であった著者が、行き過ぎたワクチン産業に警鐘を鳴らしているのですが、読むとワクチンを打つのが怖くなるでしょう。
子を持つ親としては頭を悩ます問題です。小さい頃から、「こんなに打つのか」というくらい頻繁に予防接種を求められるのを見ているからです。
このように、常識とされていることを否定する情報を得ることで、現代医療に対する不安を抱いたりすることはよくあります。今は、誰でも手軽に様々な媒体から、健康に関する情報を入手することが出来る時代です。
この本も、いわゆる「医療否定本」と言われる部類に属することでしょう。そして、医療否定本をさらに否定するものが出版されていたりして、読む側としては一体どちらの主張が正しいのか迷わされることになります。
どちらも専門家と称する方々が執筆しているのですから、専門家でないわれわれが混乱するのも無理はありません。
ですから、色々な立場の人が書いたものを複数読んでみるというのは、一つの対応策だと言えるでしょう。
また、とりあえず一度試してみて、自分に合うかどうか、効果が出るかどうかを判断の基準にするのもいいかもしれません。
ただ、ワクチンは体内に直に注入するので、他の健康法を気軽に試してみるのと違って、「とりあえず、いっちょ打っとくかっ!」という訳にはいかないのが困るところですが…。
多くの情報が溢れていて判断に迷うこともあるとは思いますが、病院も薬も上手に活用していただきたいと思います。
私もどちらかと言うと、病院や薬はあまり好きではありません。
でも、虫歯はもうこりごりなので、歯医者さんには定期的なメンテナンスに通っています。自己治癒力だけで風邪を完治させるには結構時間がかかってしまうので、早めの服薬を心掛けたりします。
湿疹が出て、自己判断で市販の薬を塗ってはさらに悪化させ、皮膚科に駆け込むことだってあります。とんでもないことになった皮膚が、日に日に良くなるにつれ、現代医療のありがたさをしみじみと噛み締めたりすることになるのです。
また、病院や薬と同じように、私のような整体師も上手に活用していただけたらなと思います。
日々の生活を快適に過ごしていくには、いかに疲れを溜め込まないか、いかに疲れにくい体であり続けられるかということがポイントになってきます。歯と同様に体全体もメンテナンスが重要です。
もうすぐ、新年を迎えます。
私も「疲れにくいカラダを手に入れよう!」を新たなキャッチフレーズとして、皆さまに良い技術や情報を提供していければいいなと考えています。
(2014年12月29日)
ご予約は 090-6122-4735(重田)まで
「はい、気の泉整体でございます」と出ますので、
「初めてなのですが〜」や「予約したいのですが〜」と
おっしゃってください。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
勉強会への出席などのために、どうしても電話に
出られない時は、どうかご容赦ください。
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